F A Q よくある質問
Q1 メイスンリーヒーターを作る費用はどれくらいでしょうか? そしてそれは既製品の薪ストーブと比べると???
A1 1台1台を個別に設計して製作するのであくまで目安としての金額ですが、当社の主流とする標準サイズのコントラフローと呼ばれるものでも140万円(煙突別途)から、それにオーブンをつけたりすると165万円ほどの製作コストがかかります。 (表面の仕上げによっても金額は大きく変わります)
標準型コントラもう少し詳しい、費用の説明はこちら。
2020より、欧州で普及している小さめで構造をシンプルにした、シンプルヒーターの作製を開始しました。2トン級の蓄熱式薪ストーブでは驚愕の¥85万~(諸経費、煙突など別途)での製作が可能です。
また、合わせて、フランス・ウズメ社 Fabricant de poeles de masse | uzume.fr | France
の技術提携を受けてBatchblock バチブロック・ロケットマスヒーターの製作も始めました。
こちらは当ウェブサイトにも、今後詳細をアップしていきますので、お楽しみに!
一方既製品薪ストーブは数万円で売られているものから、注文輸入される300万円超えのハイエンド・モデルまであります。 工場製量産型の「蓄熱型ストーブ」だけに限って考えると、600キロから大きなものでも2トンで、これらでも150万以上で売られているものが多いようです。 当社が手作りするコントラフローヒーター標準型は総重量が3トンを超えます。 もちろん蓄熱性能は質量と比例します。 当社のストーブ1台1台の仕様、価格が異なるので単純な比較はできませんが、金額だけで考えた場合は同等、もしくはそれ以下での作製が十分可能です。
また国内で流通している、蓄熱型でないメタル(鉄製)ストーブ(鋳物や鉄板)は50-60万円前後のものが多いですが、メイスンリーヒーターはこの2.5~3倍の初期コストがかかります。 しかし、快適さ、薪の消費量、耐久性を考慮すると、価格を比較するのはあまり意味がありません。
耐久性ですが、ヨーロッパ、北米では適切な使用のもと、軽微なメンテナンスで数十年間使われてきていているストーブがそれを実証しています。
メイスンリストーブは排気がきれいなため、煙突の掃除の頻度が低く済むこともランニングコストの違いにつながります。
(余談)
蛇足になりますが、アジア製の格安なモデルをホームセンターなどで見かけますが、これらの販売が許されているということは、日本が薪ストーブ、木質燃料について、いかに後進国であるかとの裏付けだと思います。 「ただ燃えればいい」、というコンセプトの燃焼器具は環境に計り知れない悪影響を与えるものがほとんどです。
Q2 メイスンリーヒーターは家1軒をまるまる暖められますか?
A2 標準的なサイズ(~50坪)の2階建てまでの木造住宅、もしくはRC住宅であれば物理的、性能的には十分に可能ですが、いろいろな要素が絡みますので、一概には言えません。 家の気密・断熱性能が最も重要なファクターですが、ほかに間取り、地域の気候などにもよります。 ヒーターからの放射熱は間仕切壁を突き抜けることはできませんので、部屋ごとに細かく仕切られた家は1台での全館暖房は難しいです。
つまり1台で1軒全体を効率よく暖めるにはストーブを中央に配置したオープンコンセプトが理想的ですが、一般的に部屋が仕切られている場合は家族が最も時間を費やす場所である、リビングルームが設置場所として選ばれるのが普通です。 リビング/ダイニングとキッチンの境に配置して、ディバイダー(パーテーション)として利用しながらオーブンを活用するというのもポピュラーです。
家が仕切られている場合でも、 ヒーター内で温風・温水を作り、この熱を他の部屋にダクト・パイプで送ることなども可能です。 当社の第一弾ヒーター(2013、長野)は温風をダクトで2箇所の寝室に送る構造にしました。
ただし、残念ながら日本の既存家屋は、古いものほど断熱性、気密性が絶望的に劣っている場合が多いです。 この場合は燃焼能力の大きなメイスンリーヒーターをあらかじめ設計するか、また、厳冬期に備えて予備の暖房器具の設置が好ましいです。
Q3 性能比べ: メイスンリーヒーター VS メタル・ストーブ
A3 繰り返しですが、メイスンリーヒーターは1日に1~2回、高温で短時間に薪を焚き切り、その熱を本体に蓄えてそれを18~24時間かけてゆっくり、一定的に放射します。 これが卓越した心地良さを生み出します。 酸素をたくさん供給し短時間で一気に燃すことでクリーンかつ完全燃焼を可能にします。 つまり、排煙も非常に少なく、近隣はもちろん、さらには環境への負担がとても少ないものです。 燃えたあとの灰が少ないのも特長です。
一方で、メタル・ストーブは「鉄は熱しやすく冷めやすい」を地でいきます。 短時間でガンガン焚くことは器具の材質的な性質上不可能ですし、まして全く快適ではありません。 燃焼を人為的に常にコントロールする必要があり、また、ほとんどのユーザーは薪を長持ちさせようと空気を絞ります。 燃えてなくなるとすぐにくべなければならないからです。 つまり、燻(いぶ)すように時間をかけて焚くので、煙突からは白、もしくは青白い煙が出続けることになります。 これはクレオソートの微粒子で大気を汚染します。 また、住宅密集地域では近隣トラブルの原因ともなりえます。
環境省が木質燃焼の規制をしている北米においては、近年、クリーンバーン性能、燃焼効率を上げたメタルストーブのモデルが売られるようになりました。 環境省のもとで燃焼試験をし、それに合格したものでなければ売ることができなくなった、との表現が正しいでしょう。 燃焼、排気に関してはメタルストーブの性能も飛躍的に上がってきたものの、「蓄熱性」は上げることができません。 コンスタントに燃料を焚き続ける必要があり、つまりそれは恒常的な火の管理が必要になるということです。 さらに燃え方によっては一時的にどうしても高温になってしまい、それが部屋の空気のイオンバランスを崩す原因でもあります。
これらのファクターだけでもいかにメイスンリーヒーターのメリットが大きく、健康にも良いかがお分かりいただけると思います。
Q4 既存住宅にも設置は可能ですか?
A4 可能です。 ただし木造住宅の場合、木の床に直接設置することはできませんので、鉄筋コンクリートや重量ブロック積みなどの基礎が必要になります。 床をくりぬいて工事を行いますので、これを作るために本体とは別に費用が発生します。 (通常は10-15万円くらい) また、煙突のルートなども検討に入れなければなりませんので、全ての家に設置可能ということではありません。
現にアメリカ・カナダでは、古い住宅のレンガ暖炉を取り壊してそこに設置することもポピュラーです。
Q5 耐震性はありますか?
A5 アメリカではカリフォルニアやアラスカで大地震の可能性があるといわれ、これらの地域で作られるメイスンリーヒーターは耐震性を有する設計です。 日本に導入するにあたって、その地域でとられている耐震構造を手本に、更なる耐震強化対策をしています。 地盤、揺れ方、家の構造などが絡むので、一概に「震度いくつまで大丈夫」とは言えませんが、この国で日常いくらでも起こりうる震度4-5クラスの揺れに対しては十二分の耐震性を有しています。 特にこのストーブについての地震と火災との関連性ですが、燃焼時間が短い分、危険度も低いと考えられます。 一方で500℃以上で常に燃え続ける重量200KGのメタルストーブは大地震のときは大変な脅威です。
(大きな地震が本当に発生!)
2014年11月に長野県北部で「神城断層地震」と呼ばれる局部的な大地震が起きました。 当社は’13-14年にかけて、偶然この断層沿いに2台のメイスンリ・ヒーターを設置しましたが、この揺れによる被害、損傷は一切ありませんでした。 地域の震度は5強~6弱だったといわれています。
(余談)
基本的にレンガを「ロの字」に組んだ構造物はもともとそれ自体に高い耐震性があるのはあまり知られていない事実です。 例を挙げますと、台東区に現存する旧岩崎邸は1896年に英国人ジョサイア・コンドルの設計で建てられ、レンガを用いた基礎と地下道に日本人建築家たちから懐疑の声が上がったようですが、後に起こった関東大震災でも何ら被害を受けなかったといいます。
Q6 デメリットはありますか?
A6 大きな蓄熱躰に覆われていますので、コールドスタート時の立ち上がりに時間がかかります。 燃やし始めてから本体が暖まるまでに4-10時間かかります。 また数トンの重量がありますので、頑強な基礎を必要とします。 また、既存住宅への設置においては工事期間(1~2週間)も考慮する必要があります。 大柄で存在感がありますのでお住まいの部屋が狭い場合など、オフシーズンのことも考慮すると、設置が困難、もしくはお勧めできないお宅もあります。 薪ストーブ全般に言えることですが、薪を乾燥した状態で保管する場所も必要です。
Q7 サイズは一つですか?
A7 暖める場所の大きさ、気候などで数段階のサイズで燃焼室の設計ができます。
Q8 焚ける薪は広葉樹だけですか?
A8 樹種を選びません。 一般に、針葉樹はヤニなどでストーブを傷める、と言われていますが、これは全く事実ではないです。 薪で一番重要なのはあくまで木自体の「乾燥」です。 適度に乾燥(18-20%が最適)していればどのような薪でも焚くことができます。 ただ、油分を多く含む針葉樹薪は一気に高温になる傾向がありますので、注意は必要です。 メタルストーブだとこの高温で窯が損傷することがありますので敬遠されています。 水分25%を超える薪は燃料として全く適しません。 環境に悪影響を及ぼす有害物質を排出するだけでなく、煤やタールがヒーターも傷めます。一方で、15%を下回ると、逆に乾燥しすぎです。燃焼が爆発的に起こり、酸素供給が間に合わずに、不完全燃焼を起こし、黒煙の原因になります。